綺麗で優しい物語でした。
文章は読みやすく描写も丁寧です。読んでいる上でのストレスはありませんでした。全体のボリュームも大きすぎず小さすぎず、適度な形に収まっていたと思います。まぁ、世界観が特殊な割にはこじんまりした話だな、とは思いましたが。
テーマを終始貫くスタイルや淀みない展開から、かなり書き慣れた印象を受けました。少なくとも全体を見て物語を構築できるだけの実力はあると思います。もう少し詳しく描いても良かったのではないかと思われる部分はありましたが、不足していると感じるものはほとんどありませんでしたし、過分な箇所はほぼなかったと思います。ですが、読み終えて印象に残る逸品かと問われたら、少しばかり小首を傾げる作品でもありました。それなりに良く書けていますし、大きな不備はありませんが、同時に明確な魅力にも乏しいと感じました。メグの無邪気さ、リィの儚さ、シーヴァの荒々しさと悲哀、どれもしっかり表現はできていますけど、ズドンと撃ち抜かれるレベルには到達していません。これが書きたかった、このためにこの作品を書いた、そういう熱意があれば結構化けた作品なのではないかと思います。
実のところ、これは結構難しい注文だと思います。しかし技術的には到達できるレベルにあると思います。何かが見つかった時、きっと作品は文字の羅列ではなくなっていると思いますよ。
単品でも十分に評価できる作品ですが、期待させるだけの力を持った作品でした。
それではー
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