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[74] 深津弓春「さよなら一億の独り身たちよ」 Name:あなたのSFコンテスト 2014/07/27(日) 02:43 [ 返信 ]
作者名:
深津弓春


作品名:
さよなら一億の独り身たちよ


分類:
長編


あらすじ:
 高校二年の梅雨時期、少年・瑞穂有理は友人・藤沢恵理紗に如何にして今以上に接近するかを至上命題としていた。そんな折、季節はずれの転校生、ソフィアは、彼に不思議な言葉を呟く。
 「君が彼女と結ばれる宇宙はどこにも存在しない」

 絶え間なく無数に分岐し続ける宇宙において、彼は自己情報同期型電子ノベルの調査官として生き、十八世紀の町で麗しい「その人」について手紙をしたため、背教騎士ドラグーンとして戦い、朝のニューアーク空港で搭乗準備を終える。
 無数の宇宙。無数の可能性。全方向に広がる分岐世界。何もかもがいずれかの宇宙で起こりえる。
 そうであるはずが、多くの宇宙で「彼」は彼女を求め、そして失意に落ちていく。
 やがて彼らは、気づく。どうなっているのか。どうすべきか。どうなるのかを。


URL:
http://ncode.syosetu.com/n3090cf/


[344] RE:深津弓春「さよなら一億の独り身たちよ」 Name:ジザパルーラ 2014/08/02(土) 09:43
 切ない物語です。
 主人公である有理と恵理紗が、互いに互いを必要としていることがひしひしと伝わってきます。それなのに、この二人は決してむすばれることがないという。「二千十四年七月」の第一話では、まるで運命が悪意をもって二人の邪魔をしているかのようでした。なんという苛酷な恋。
 毎回泣きそうになりながら読んで、続きを待っています。


[720] RE:深津弓春「さよなら一億の独り身たちよ」 Name:VEILCHEN 2014/08/29(金) 23:03
硬派なSFであると同時に大河恋愛小説でもあるという贅沢な作品でした。

「一億の独り身たち」の意味が明かされ、様々な独り身たちが様々な苦悩の後に様々な最期を迎えるのを切なくもどかしく見ていました。
書く側としても読む側としても、いずれも長編が書けそうな舞台やキャラクターなのに、破局の部分だけを思い切りよく切り取られるのが勿体無い限りでした。とくにドラグーンの世界や「若きウェルテル」の世界は全貌を見てみたかったです。

タイトルの「さよなら」はどう回収されるのかとハラハラしていたのですが、怒涛のハッピーエンド(と言っていいはず)に我慢した甲斐があった! と快哉を叫びたい思いです。全ての可能性に満ちる祝福と歓喜なんて。爆発しろという感情をこれほど覚えたことはありません。

大作の連載完結、お疲れ様でした。ありがとうございました。

[812] RE:深津弓春「さよなら一億の独り身たちよ」 Name:ジザパルーラ 2014/09/01(月) 23:44
 おさまるべきところにおさまりました。よかったよかった。
 と思いつつ、よくよく読むと、この新しい可能性宇宙にもやっぱり穴があるじゃないですかー。有理と恵理紗がくっつかない宇宙がどこにもないという穴が。
 いずれまた可能性宇宙は収縮をはじめ、有理と恵理紗の決別がどこかの宇宙で実現して、ふたたび二人が決してくっつかない可能性宇宙が生まれるのでしょう。
 ただのハッピーエンドなら予想の内でしたが、これはゾクゾクくる終わりかたでした。

 というような話はともかく、二人がしあわせになってよかったです。


[1213] RE:深津弓春「さよなら一億の独り身たちよ」 Name:拙者 2014/09/07(日) 20:26
拝読いたしました。
各節で印象に残った点などを(ネタバレありです)

1〜3 二千十四年
 いかにも高校生ぽい、というか村上春樹や涼宮ハルヒぽい面倒くさい自分語りで始まる物語。
 最初はうわーと鼻白みましたが、やがて主人公有理の家庭の事情と、ヒロイン恵理紗の悲惨な過去が明かされていくにつれ、
 この二人どうなってしまうのだろうと徐々に引き込まれて行きました。
 冒頭で転校してきたアニメっぽい美少女が多元宇宙とそこでの二人の境遇について話し始めた時点で、あーそういう話なのと心の準備が出来ました。

T 二千五十二年
 ブレードランナー的な世界でヒロインのために手を汚し続ける主人公。
 ここでのソフィアはアンドロイドでした。
 ライトノベルに浸食された世界が何だか凄い事になっていて、現在のライトノベル事情を糾弾しまくるような酷い設定の数々に、作者様の憤懣が滾っているようで笑えました。
 最後にヒロインと主人公を殺したのはラノベのバグですらない、物語がもともと持っている毒だったという結末に、空恐ろしい気持ちになりました。

U セントラ暦二百九十三年
 中世ヨーロッパ的な世界で重力操作を用いて戦う主人公。
 またもや主人公の肩書は「ドラグーン」で、何かを象徴しているのでしょうか。
 ジャンヌダルクみたいなソフィアちゃんが、唐突に自分でも訳の解らない「予言」を口走ってきょとんとしているのが笑えました。
 大勢に背いて逃走する主人公とヒロイン、待ち受ける悲劇というTと同じモチーフが繰り返され、暗澹とした気持ちになります。

V 一七七一年
 二千十四年や二千五十二で言及されて来た、ウェルテルの世界になってしまいました。
 原典をどう弄っているのか上げられれば格好いいのですが、最初の5ページくらいで放り出してしまったので何も言えません。
 手紙でも電波なことを書いてくるソフィアちゃんに笑いました。
 主人公が銃を手にする瞬間、ある作家の名前を思い出すのにニヤリとさせられました。

W 二〇〇一年
 911テロの最中に居合わせる主人公。
 脳機能を弄って意識を変容させ戦う描写が恰好よかったです。
 ソフィアは大きな活躍も無く死に、そしてこの話には黒幕としてお兄さんが出てきました。
 彼も主人公と同じ者なのでしょうか。
 クライマックスでは二千十四、セントラ暦でも語られた革命と大衆に関する議論が再び繰り返され、再び悲劇的な結末に。
 「Let's roll」は演劇とも引っ掛けているのでしょうか。

V ナビゲーター
 ナビゲーターも主人公だった!
 ここにきて、各節の世界設定が上から目線で語りなおされ、軽妙な語り口で一気にコメディの様相を帯びてきました。
 「いいから早く押し倒せよ」と思いました。

4 二千十四年
 主人公が虚ろなヒロインの父親を叱咤して、少しだけ前進する。
 最後の告白で、これまでの鬱展開を全てひっくり返す怒涛のハッピーエンドで爽快、というか笑いながら「爆発しろ!」と言いたくなりました。

気になった点としては、物語の冒頭というか既にあらすじから話の概要が明かされてしまうので、後半までの悲劇の繰り返しに興味の持続を保つのが難しかった事があります。
特に二千五十二年の、ラノベを揶揄したメタ的な設定の物語のあとに、思い切り中世ファンタジーな物語が始まるのは、何かの皮肉なのかも知れませんが、ちょっと読むのが辛かったです。

とにかく様々なモチーフが各話を縦断し、一回読んだだけでは全要素を把握するのは絶対無理だと思いましたが、
このバカハッピーエンドを前にすると「別に理解できなくていいや」と笑顔で巻を措けました。
全時空を又にかけた男女の邂逅というモチーフは、小松左京「果てしなき流れの果てに」、映画「クラウドアトラス」、アニメ「天空のエスカフローネ」などを連想しました。
また全く質が異なりますがベイリー「カエアンの聖衣」なども連想しました。
面白かったです。

勝手な感想失礼しました

[1278] 【超絶ネタバレ】「さあ、次は○○とのエンディングを探しに行こうか」 Name:URA 2014/09/08(月) 16:04
読ませて頂きました。
いやぁ凄かったです。何がってスケールが。
そして作者の語彙の豊富さに驚かされました。

さて、タイトルとあらすじで大体の本筋が分かるので、ソレ以外に注目しながら読ませてもらいました。

split fiction 別れる(分散する)創作と私は読みましたが……なんか他にも解釈ありそうですよね、どうなんでしょ。

有理パート
徐々に明かされる二人の関係や、境遇、突如接触してきたソフィアに作品への好奇心を掻き立てられました。
ココで気になったのはソフィアの態度です…指を絡める、瞳孔を窄める。彼女の動作一つ一つに意味がありそうな気がして読んでました。
そして他の脇役である有理母と恵理紗父、この辺りにも何か有りそうだな〜と勝手に妄想してました。

シュルデンパート
しっかりと作りこまれた世界背景でした。近未来感がしっかりと想像でき、正直こんな近未来早くこないかなと思った位。
料理…でっち上げちゃっう処がGood

ユルゲンパート
純粋なファンタジーなのかと思いきや、何か不思議な世界観でした。
後に語られてますが、ほんと極端な世界だなと。
主人公の肩書が又もドラグーンで有る事に、もしや主人公は全部ドラグーンになるのだろうか…この先どうやって関連付けてくるのだろうかなどと妄想したのを覚えています。
『竜核』とドラゴンスレイヤーの関係がよく分かりませんでした。

エルザは内に、エリーズは放出する形で、混沌との付き合いが深いですね。

ジョルジュパート
ソフィアが手紙だけの登場になってしまいました…じょじょにソフィアがフェードアウトして行くように感じた瞬間でした。

ユーリパート
『……なんだ、おい、台無しだな?』
ほんと台無しでしたwでも笑わせてもらったのでこれで正解だったのかとも思います。
女性学者脳卒中の話、私もテレビで見ていた気がします、番組は違うかもしれませんが…アンビリーバボーでしたか…。その情報からまさかサイキックな方向に論理付ける処、感服いたしました。
その時ソフィアは…

ナビゲーターパート
種明かし、と言うか物語の大詰め。
途中まで「いや、この世界のお前がどうにかしろよ」って思ってたのですが蛇足で息の音を止められました。
ちなみにタイトルのアレ初登場。正確に観測されたわけじゃなく何となくって感じが好きですw

再び有理パート
主人公が変態になりました。そして、序盤に全く匂いのしなかったデート回想が入り、ここだけ少し雑な感じがしました。
最後を盛り上げる為に色々追加したのかなと…。
その時買ったワンピースや人形がどっかで出てきたかな〜と…。

グランドフィナーレ!二人共お幸せに!!

さて、誤字の指摘をば
●0.の「 『僕』」
●W 二〇〇一年 秋(2に何故か「恵理紗が」
●ナビゲーター回で「 んが、見つかったのは、」

少し妄想と言うか気になった処を。
・六本足の馬、軌道エレベーターなどの世界も書く予定があったのでしょうか。あったとするならどんな世界だったのか…。
・ナビゲーター回で二度言われた深い関係、それは不自然な形だった場合達成されたのか。
・主人公の世界に気付いたのはソフィアの方が先でしたが、その存在をなぜナビゲーターには伝えなかったのか。
・いや、ソフィア絶対主人公の事(ry

最後に一言。多分ですが、地文で「!」って2回しか使われて無いと思うのですよ。

その「!」の使い方が最高でした。

鳥肌が立ちました。

以上!すっごい乱文ですが感想でした!

とても奥の深い、色々考えさせられる作品だったと思います。有難うございました!

[1366] RE:深津弓春「さよなら一億の独り身たちよ」 Name:みもり 2014/09/10(水) 11:50
読ませられました。
語りの力が強く、引き擦り込まれる。

物語りの底流に流れている毒のようなものが、じわじわと締め付け、ある種の気持ち悪さや不安定を作っていました。
でも、多分それこそが起点となって、物語における善悪を突きつける。
限りなく展開される不条理の嵐。
それは現実に対する不満であり、現状に対する批判だ。
青春のノイローゼによくある知性への疑問や人間性に対する幻滅。
そして刹那的なハッピーエンドを許さない姿勢。
物語は語る。世界を革命せよ、と。

――繰り返される可能性と妄想

日常から始まった物語はSFやFTへと変還し、また日常へと戻る。
重なり合う無数の可能性の中で、唯一届かない恋の物語。
そして、一つの告白によって反転する。

――…一億の独り身たちよ
それは物語を越えて存在する現実への一歩。


面白いか? と問われれば、面白くない、と答えたい。
けど、読ませられる。つまり面白いのだ。
それどころか物凄く面白いのだ。

科学や哲学に関するいくつかが、(確信的にだと思いますが)都合のよい浅薄さで、
しかもまるで全能者のように語られていた。それは確かに不快でした。
でも、それは読者に常に疑問を投げかける為の異化効果であって、口当たりの良い語りより遥かに適切だ。
それが毒であるから、読者が毒に飲まれないように語っているのだ、と思った。

この作品は本当の意味での『書を捨て、街に出よう』を体現している。

傑作。
しかし、私も含めて、これを読んでますます救われない気持ちになる人も多いだろうな、とは思う。
いや、それでいい。

――若人よ!
――充実して爆発しろ!

[1495] RE:深津弓春「さよなら一億の独り身たちよ」 Name:守分結 2014/09/13(土) 22:30
時間を忘れて最後まで拝読いたしました。
文章の美しさ、表現の的確さ、重厚な構成、豊富な知識をうかがわせながらもそれをきちんと背景として扱っていること、人物の魅力と、どれを取っても素晴らしい小説だと思います。
しっかりとSFであり、高校生の生活や揺れる思考を描いたかと思うと、ハードボイルドな近未来であったり、ファンタジーのような異世界であったり…。どのパートも、それだけで充分に一つの物語を紡げそうな設定と深みと広がりがあり、それでいて決して独立しておらずに当初からあるテーマに従っていました。作品の通り、まさに多重宇宙でお見事という他はありません。
ただ、タイトルから最後はハッピーエンドなのだろうと思い、またあらすじから二人はどの宇宙でも結ばれないとわかってしまっていたのが少々残念でした。各パートの結末が読み始める前から予測できてしまうので。もちろん、例えば結果を知っている歴史小説だってその中のドラマに惹きこまれながら読むわけですし、作者様の高い描写力のおかげで各パートの過程を存分に楽しみました。
それでも恵理紗のように結末が見えているというのは悲劇であるだけにしんどいものだなあと思いました。
ナビゲーターじゃありませんが、もういいからとっとと押し倒しちゃえよと(下品ですみません)いう気分になりました。もちろんそうできない理由がどの場合にもあるのですが。もしかすると一点に収縮するまでが宇宙原理の法則なのかもしれませんし。
そのような微かな苛立ちもあり、最後に結びついた時の、広がっていく宇宙の様子は本当に綺麗にも思えました。
後もうひとつ引っかかりましたのが、この状態を察知し観測していたナビゲーターのいる宇宙で、最初に全てが消滅するかもしれないと気づいた時点で、研究するより先になんで押し倒さなかったのかという疑問です。なにか出来ない理由があったのでしょうか?その前にエリサは蒸発してしまったようですが。
また作中で語られる世界に対する絶望や虚無感が、素晴らしいエンターテイメントでありながらも立ち止まって考えざるを得ない深みを与えていると思います。
世界の行く先など考えるべくもない卑小な一人である私の感想が、やはり卑俗で申し訳ありません。
とりあえず、ようやくくっついた若い二人には…四の五の言ってないでまずは体で感じろっ!リア充おめでとうーっ!と言ってやりたいと思います。
本当に豊かな楽しい時間をありがとうございました。また読み返したいと思います。


[1500] 沢山の彼と彼女に Name:天崎剣 HOME 2014/09/14(日) 00:35
じわっときました。最後にはボロボロと涙が零れ出ました。
長いんだよなと、自分のことさておき読み始めたのですが、スルスルと読んでいました。

結ばれないと断言されて、それでも諦めきれない二人の、いろいろな形が、一つずつ丁寧に描かれていたと思います。どれもこれも、抜き出して一つのお話に出来そうなのに、それを上手く組み込んで大きな一つの流れにしていく、その手法は素晴らしいと思います。
これは本当に、実験作と申しますか、意欲作と申しますか、そういう類いではないでしょうか。

有理と恵理紗に感情移入し、この人達なんかスゲー難しいこと考えてるどうなるんだろうと思っていた矢先に、突然の交通事故。
初めての場面転換に焦り、何があったかとキョロキョロするのも束の間、全く別の話になって。そのうち、ああこれは、ソフィアの言う多次元解釈だと、理解してから先はだいぶ納得できましたが、最初はオイオイどうしたとページを何度かめくり直してしまいました。

ただ、最初は戸惑ったものの、気がつけば作品にのめりこみ、何が起きるのだろう、どうするのだろうと、一生懸命字面を追っていました。
語りが。独特でくどくどしい語りが、そうさせるのだと思います。
何度も何度も、こうだよと、丁寧に教えてくれる。だから世界観も、どんどんイメージとしてわき上がってくる。
これは、ある意味諸刃の剣なのではないかと思います。
本当はもっとスマートに語れるのではと思うカ所がないわけではありませんでした。一度くどいと思われると、それきりになってしまいますし、行間を読む方が好きな方にとっては苦痛にしかならない可能性もあります。
が、個人的には突き進んでいただきたい。このくどさは必要なくどさなのだと、最後になってハッキリと思いました。
一つ一つ積み重ね、その上での結果だという説得力がありました。

個人的に好きなエピソードは、有理のと、ユルゲンのですかね。
時系列があっちこっち飛ぶので少し困惑しましたが、何か面白かったから、指摘とかそういうの、止めよう。

読むといいと思います。
是非にこの、結ばれたくても結ばれない男女の切ないお話の数々を、読むといいと思います。

そして最後に、叫ぶのですよ、リア充爆ぜろ!と。


[1532] レールを外れる努力 Name:栖坂月 2014/09/16(火) 14:08
いわゆる世界系、個人的にはやはりハ○ヒでしょうかね、それとちょっと懐かしい印象のある転生型恋愛モノを足したような作品でした。上手くいかない二人が何とかして上手くいくようにと奮闘し、そして失敗する、この展開は最終的にどうやったら上手くいくのか、あるいは上手くいった先に何が待つのか、というワクワク感に支えられます。結末付近の形は個人的にもかなり楽しく読ませていただき、満足感も高かったですね。素直に面白い作品でした。
文章的な不備はなく、というより極めてハイグレードな文章を書く方なので全体の形は綺麗であり、安心して読める作品であることは間違いありません。この部分においてもポイントが高いですね。
難点らしい難点はほとんどないのですが、一つだけ個人的に気になったのは、拙者さん辺りも挙げていますが、約束された悲恋のくどさです。全体の流れも綺麗に決まって確かに一つの作品としては問題がないのですが、この類型の話は結構氾濫していますし、なるほどそういう話なんだなと思いつつ読んでしまうと、特に結末の分かっている悲恋は退屈に感じます。そういうものだから仕方ない、という言い分はもちろん「ごもっとも」と思うのですが、このレールから外れる努力をしない限り、新しい作品としての評価は一つ下がると感じました。
とはいえ、私自身もそうですが、普段あまり読書をしない人間からすると、こういうお約束がハッキリした作品の方が安心して読めるのは確かですし、お約束であるからこそ受け入れられやすいという現実があることも間違いありません。理想は理想として置くとしても、この作品が素晴らしいという評価を受けるに値する作品であることは確かだと思います。
楽しませていただきました。
それではー


[1698] 【ネタバレあり】感想です Name:朝陽遥 2014/09/20(土) 13:12
 拝読しました。

 わたしの場合小説を読んでいるときって、たいてい夢中でのめりこんでしまうか、それほどはまれなくて休み休み読むかのどちらかなのですが、本作についてはそのどちらでもありませんでした。ツボにハマって面白くって、それなのに途中で読む手が止まってしまう。文章が読みづらいとか内容が楽しめないとか、そういう理由で集中が切れるんじゃなくて、流れ込んでくる思考、思索、そうしたものの総量が大きく、飽和しそうになって、それで何度も読む手が止まりました。
 話が難しくて咀嚼に時間がかかるのとは違う。顔を上げてひといきついて、感じたことや考えたことをちょっと見つめ直して、それから先を読みたくなる。ノンフィクションや評論を読んでいるときならともかく、小説でこういう経験はあまりなかったので、不思議な読書体験でした。

 壮大な世界観を持ったSFとしての魅力。恋愛小説としての魅力。そして人間というものの抱える業についての考察、思索的小説としての魅力。
 丁寧に描きこまれた登場人物とその関係性、そして世界観。挿入されるひとつひとつの物語に厚みがあり、心を揺さぶる魅力があって、しかもそれが、それぞれの世界に非常にマッチした文体で描かれていました。読み手としての感動に加えて、書き手の端くれとしても、その文章技芸の見事さに、何度も鳥肌が立ちました。
 また、がらりと雰囲気の違ういくつもの別ストーリーを詰め込んでおきながら、それでいてバラバラな感じがしないのは、「どの世界でも二人が結ばれることはない」という前置きのもたらした作用(先の展開への予感)ばかりでなく、前章の末文と新章の冒頭文をリンクさせるという手法と、そして筋書きも世界観も違うながらも、各話に共通して何度も立ち現れてくるテーマのおかげと感じました。
 同じ話題を一本の小説の中で繰り返し登場させるという手法は、ほんのちょっと塩梅を間違えれば、くどくなって読み手に「さっきも同じこと書いてあったのに、また?」「もうその話はいいから」というような感想を持たせるリスクを背負っています。けれど本作では、(一部に共通点はあるながらも)まったく違う歴史を背負った世界で、まったく違う生き方をしている主人公たちが、まったく違うきっかけから同じ問題にぶつかっているおかげで、くどくなるどころか、そのテーマを掘り下げる効果を持っているように思います。

 ということで、非常に満足感の高い小説だっただけに、いちいち書くほどのことでもないかとは思ったのですが、辛口可とのことでもありますし、一か所だけ気になったところを。
 ナビゲーターの章です。いえ、面白かったんです。全体の構造の中で重要な位置を占める部分でもありますし、それまで伏せられていたカードが明かされ、物語が収斂してゆく手応えがあって、非常に面白かったのは間違いないんです。ただ、ナビゲーターの語り口の軽さと、そこまでのシリアスなストーリーとのギャップに「えっ?」ってなってしまいまして。そこまでの物語がそれぞれに重厚で読み応えがあり、非常に魅力的だっただけに、急に軽いノリが入ってきたことに、ちょっとだけ躓いてしまいました。
 とはいえ、だったらどういうふうに書いてあったらよかったのかと聞かれると返答に詰まりますし、多分に個人的な好みの問題ですので、ここは一意見として聞き流していただければ幸いです。

 素晴らしい小説を読ませていただきました。好き勝手な感想、どうかご容赦くださいますよう。


[1753] RE:深津弓春「さよなら一億の独り身たちよ」 Name:流山晶 2014/09/21(日) 20:39
映像的で饒舌な作品でしたが、
疲れたと言うのが読後の最初の感想です。

もちろん、最後辺りの映像的なシーンやエンディングは疲れただけの意味はあり、こういう作品を読めて幸せだったと思います。

以下、変な読者の感想と思って読んでください。
私は文字数が読めないのです。読むスピードが遅いのか、時間が少ないのか、スマホで読むせいなのか。
もう一つの読者としての問題は、作品のテーマと作者の意図を探しながら、小説を分類しながら読んでしまいます。

分類という意味では、本作はハードSF、学園物、文学、哲学、ファンタジー、コメディーのいずれの要素も持っていて、読了後も一体何だったのかわからない状態です。

革命、ライトノベル、二元論、言語、自己と他者、文明論と饒舌に語るのですが、それが一つのテーマに結びついているように見えませんでした。読んでいて疲れたのは、どこへ連れて行ってくれるのかわからないと言う不安感です。文字数が少なければいいのですが。

ハードSFとして読むと、並行宇宙はいいとしても、大昔に分岐して、人類が存在しない宇宙はどうなってしまったのだとか、有理が特異点であるという根拠が甘く、細かい所が気になってハードSFとして読めませんでした。途中のファンタジー的なパートも世界設定を崩してしまっているように感じました。反対にラストの物理的宇宙と可能性宇宙の所は、ハードSFとしてすんなり入れて、秀逸だった(鳥肌ものでした)。結局、有理が特異点として納得できなくなると、全体がコメディのように読めてしまいました。最後の結果の見えるエリサと過程の見える有理の説明が理解できなかったのも、饒舌と感じてしまった一因かもしれない。


もしかして、物語としての可能性を発散させながら、最後にコメディに収束させるというメタな構造を持たせる意図があったのでしょうか。

逆に言えば、色々な類型を含んでいるように見せられたのは、各パートがきっちりと高い技量で描けていたとも言えます。それは疑いようもない。

饒舌な部分を削ってしまって、映像にすれば、素晴らしい作品になる気がします。
拙者さんが上げておられるような「ブレードランナー」や「クラウドアトラス」に加えて、「マトリックス」や「秒速5センチメートル」を連想しましたが、そういう映像的な部分は十二分に堪能させていただきました。

変な読者で申し訳ありません。


[1867] 【ネタバレ有り】感想です Name:桐谷瑞香 HOME 2014/09/24(水) 22:45
読了した直後の一言として、凄いものを読んだ、というものでした。

その一つとして多数の世界を描きだしていること。
現代、ファンタジー、SF、サスペンス系など、ここまで多彩に書き分けられていて凄いと思いました。
企画ものであり、多くの人が読むので、得意なジャンルで書こうとする人が多いと思われる中、多角的な視点から小説を進めるためにまったく違う世界観の数々を書いたのはとても意欲的で凄いことです。
しかもどれもが作りこまれた世界観であり、すべての話に通じる一本の芯が通っていたため、読書の速度を緩ますことなく読めました。むしろ加速しました。当初は急激に場面が変わったのに多少戸惑ったりもしましたが、慣れていくと世界が変わるタイミングも予期できて、そろそろこの世界も終わってしまうのかと寂しく思いましたね。
最後に二人は結ばれないとわかりつつも、その過程がまったく違っていたため、いったいどういう展開を迎えるのか予想がつきませんでした。世界観だけでなく、話の構成の仕方も変えていて、どれも先が読めなかったです。
どの世界観も面白く、胸が締め付けられる思いでしたが、個人にはユルゲンの話が好きでした。長編の中での話の一つとしておくのは勿体ない程、もっと長い文章で読んでみたかったです。

有理の話の序盤で、大変すぎる人生を歩んでいる子たちだなと思っていましたが、あれよあれよと本当にとんでもない展開になり、さらには世界まで変わっていってしまい、いったいどういう風に収束するのかとハラハラしていましたが、すべて綺麗にまとまって良かったです。
最終話の描写は他の追随も許さない程、美しく、綺麗でした。全体的に文章力は高く、特に力を入れて書かれていたのだなと伝わってきました。とても印象に残るシーンでした。
こんなにたくさんの世界を出さずに、有理の話だけでもいいではないかと思ってしまいましたが(すみません……)、ラストを読んで必要な物語の数々であったと実感しました。積み上げてきたものが一気に花開いた気がしました。
タイトルも中盤と読了後ではまったく見方が違くなりました。切なさから、爽やかなタイトルへ。二重の意味を持つタイトルでした。

この作品だけで、様々な種類の小説が読めてとても面白かったです。執筆お疲れ様でした。


[2025] RE:深津弓春「さよなら一億の独り身たちよ」 Name:真崎@M's Works 2014/09/30(火) 00:39
 誤解を恐れずに言えば、この作品は非常に面倒臭い作品である。
 要点を抜き出せば一万字程度でもそれなりに見られる話ができあがるだろう。
 だが、そうしなかった点を評価したい。
 世の中には好んで面倒臭いことに情熱を傾ける人種が存在する。
 登山だとかクラシックカーのレストアだとか、極小の折り紙だとか各種コレクターなどもそうだろう。
 あとは小説を書いたりだとか。
 面倒臭いことのすべてがいいとは言わないが、この作品は「いい面倒臭さ」を内包している。
 ここはこういう世界なんだ、OK?
 これはこういうことを言ってるんだ、OK?
 あの話を覚えているかい、OK?
 などなど、いちいち読み手側に確認してくる。
 万人がそう感じるかというとそうではないだろうが、まるで作品そのものとリアルタイムで対話しているようで、奇妙で新鮮な感覚を味わった。
 もちろんそれはそれなりに高い文章力があってこそではある。
 読むのにストレスを感じる文章では、絶対にこうはならないからだ。
 あるいは作者の意図としては不本意な受け取り方なのかもしれないが、このように楽しんだ読者もいるということでご容赦いただきたい。
 面倒臭い、いい話だった。


[2055] RE:深津弓春「さよなら一億の独り身たちよ」 Name:尚文 2014/09/30(火) 22:41
多世界解釈のような世界でした。
最後まで読みとおし、そして最後の一文に、全部持って行かれたような気がします。

[2061] RE:深津弓春「さよなら一億の独り身たちよ」 Name:平 啓 2014/10/01(水) 15:10
拝読しました。
現代から未来過去、ファンタジー、近過去の可能性世界が過不足なく描かれ、その中で普遍的な主人公たちの悩み苦しみが伝わってきました。どの世界も孕む善と悪の矛盾によって悲劇しか見出せないヒロインに対し、経過しか辿れない主人公が、その経過にある至福に気づいたラストは圧巻でした。ブレない真の価値を見出す時、すでに人は至福の中にいるのであり、結果を恐れないこと。そして結果すら、さらにその先のための経過の一点に過ぎず、先への希望となることが、今の閉塞した現実世界へのメッセージとなっていました。
あれこれと問題はありますが、今未来に向かってどうするかが問われている物語だと思います。
一方で、至高の価値を見つけることの困難さが、周囲の登場人物達の姿から伺え、これを見つける事こそ人間が古来求めてきたものであるなと、改めて考えさせられました。主人公達はある意味、やはりラッキーな選ばれた者達なのでしょうね。
ワクワクするいろいろな世界を旅させていただき、ありがとうございます。


[2102] 感想返信・個別に・深津弓春 Name:深津弓春 2014/10/04(土) 19:24
 この場で感想を下さった方、ツイッターなどで作品に関して様々な感想・意見・疑問などを発言して頂いた方、そして勿論そのほか全ての、作品を読んで下さった方に、まずは心より感謝を申し上げます。

 疑問点、ご指摘などを中心に、個別に感想に返信させて頂きます。

>ジザパルーラ様

 感想有難うございました。最初に結末をぽんと考え付いて書いたお話だったので、「おさまるべきところに」という感想をいただけたのは嬉しいことです。
 『新しい可能性宇宙にもやっぱり穴がある』ということなんですが、あります、確かに。というか、なきゃならないような構造に宇宙がなっていたんだー! という(可能性宇宙と物理宇宙が同じなんらかのエネルギー? 可能性? を共有しやり取りすることで成り立っている宇宙という、やや馬鹿馬鹿しい)設定が本文でも最後のほうに明かされています。雲が大きくなったら雨が降る、みたいなもので、だから「穴」というよりはただ単なる装置というか、起こるべくして起こるというだけの現象なんですね。
 それでもって、主役二人が結ばれる宇宙だろうが結ばれない宇宙だろうが、そのどちらでも二人は決して不幸でもなんでもない――全価値は全反価値によって価値でありその逆もまた真であり、同じように過程は結果であって、言ってしまえばどんな状況であれなんであれ、認識の絶頂において人は至福に至れるのだ、というような弁証法的な頂点というか、全世界要素の止揚というかそんなものを書いた――つもりでした。
 言うまでも無く語りきれてはいないので、分かり辛かったかもしれません。かといって語り尽くしたからと言って伝わるものでもなく……とにもかくにも力不足でした。
 わけのわからないことを並べ立てましたが、とにもかくにも読了、感想、感謝です。

>VEILCHEN様

 感想有難うございました。
 『いずれも長編が書けそうな舞台やキャラクター』ですが――お褒めいただきとても嬉しいのですが、わりとぼろぼろなところも多い設定になっています。舞台だけを考えるのは意外と簡単で(小説書き始めた頃って、無駄に設定ばかり考えてストーリーぼろぼろの作品とかよく書くじゃないですか。いや私だけでしょうか?)、そうした舞台となる世界、設定、人物から、どんな動的な価値をどんな角度から見出し描くのか、それはそもそも可能なのか、というところを考えることこそが、特に長編では難しいと思います。今回の作品ではそれぞれのエピソードは短編レベルだったのでさっくり力押しでまとめており、だからこそ荒があまり出ず、「いずれも長編が書けそうな舞台」に見えたのだと思います。
 少なくともVEILCHENさんには、上手くまとまった舞台として見せかけられた(せこいやり口かもしれません)ようで、安心しています。

>拙者様

 感想有難うございました。
 「Let's roll」は911事件の際、ただ一機テロ目標に到達しなかったとされるユナイテッド航空93便の乗客が、ハイジャック犯がテロリストだと知り、テロ阻止のため犯人に一気に突撃する際に掛け声として発せられた一声だとされています。「さあ、やろうぜ!」というやつですね。
 『ラノベを揶揄したメタ的な設定の物語のあとに、思い切り中世ファンタジーな物語が始まる〜』という感想は、これは気がついていなかった、盲点でした。確かにこれは読み辛いというか、「お前今さっきさんざんこき下ろしたものをこら」となりますね。ラノベでよく使われるジャンル・ファンタジーであり、更に言えばお世辞にも上品とはいえないあまりしっかりしていない、書きなれない「ふぁんたじー」レベルの作品であったことも、ギャップというか、前エピソードとの噛み合いを悪くしているのかもしれません。

>URA様

 感想有難うございました。
 「気になった処」ですが、まず、「六本足の馬、軌道エレベーターなどの世界」ですが、即興もあれば、没作品設定も多くあります。色々と使えそうな設定を並べて、実際にエピソードを決定した後にあぶれたものを有理パートで散らした感じです。リサイクルです。せこいので。
 『深い関係、それは不自然な形だった場合〜』ですが、「有理と恵理紗が上手く行く宇宙は自然には存在していない」とうのは「ナチュラルには存在しない」と言う意味で、だから「人為的に干渉して実現させよー」というのが、ナビゲーターの行為の意図だったわけです。で、結果、ほとんど無理だったけれど、最後の最後で努力が実ったといえば実った、というような曖昧な形になっています。ですので、ある意味「不自然な価値では達成されたともされなかったともいえる」という形になります。
 
>みもり様

 感想有難うございました。
 『都合のよい浅薄さで〜』これは確かに、そうですね。主人公たちは皆あんまりおばかな楽天的・進歩史観がちがちの脳天気にはしたくないので、ああいったキャラクターになったのですが、「脳天気な大勢のひとびと」に対する不信やもしかすれば憤りが表に出すぎたために、「鼻持ちならない」感じのキャラクターになったという気がします。おまけに有理パートは一人称ということで、「不快」と感じられることもあって当然だったと今少し反省しております。「不快な主人公」は場合によっては物語に価値をもたらしますが、今作においてみもり様が感じられたような不快さはいらなかったなーと。もう少し浅さを感じさせない形で語れれば。シニシズムに満ちた主人公って好きなんですが、自分が書くには難しいものだと気づかされました。有難うございます。
 『これを読んでますます救われない気持ちになる人も多い』⇒予想外でした。一応コンセプトとしては、「誰であれ救えるだけ救われる」というか、「そも救われる救われないなんてことを乗り越えて救われる」ような結末にしたつもりだったのですが……。

>守分結様

 感想有難うございました。 
 『研究するより先になんで押し倒さなかったのかという疑問』ですが、色々です(いい加減な!)。そういう刹那的なのが二人とも趣味じゃなかったとか、単純に恥ずかしいとか。そういう個人的な理由だとか、他人からすればどうでもよさそうな理由で先送りにし、結果、恵理紗が消えてこの宇宙の二人も結ばれませんでした。他の宇宙がそうであったように。つまり、『なにか出来ない理由があった』というより、「出来ない理由(無視できそうだったり下らなかったりするものの、それによって別離が訪れる)がある宇宙ばかりが存在した」ということになります。
 『結末が見えているというのは悲劇であるだけにしんどい』これは全体的に多く感想に見られた話で、あらすじのあけっぴろげ感や、話運びの工夫が足りなかったと痛感しています。

>天崎剣様

 感想有難うございました。
 『大きな一つの流れにしていく、その手法』ですが、元々ワイドスクリーンバロックというか、「規模が大きくて色んな場所、時間、人物を素早く転々とする話」「様々な場所や時間や人を通して多様な情感を、意識を深く感じながらも、一本の物語として一貫した自己も同時に存在し続けていて、それが故に自己が拡散しつつ同一であり続ける、奇妙な『広く多様な自己を味わえる』作品」が大好きで、そういう話を書こうと思って書いた話でした。
 『ある意味諸刃の剣』これは、薄々自分でも感じていましたが、中々怖いところへのご指摘でした。くどいほどに「あれはこうだからこれでしょ!?」と確認するのは、特に形而上学的内容などを中心に、その意味が読者に伝わっていないのではないかという恐れから多分来ています。倫理や哲学といわれるような主題が物語り上とても大切な位置に来ているので、そうしたあれこれの主題の論理的過程が理解されないとこの物語は理解されないぞ、という。
 読者に信用を置きすぎてもその逆でもあまりよくないのだとは思いますが、今回の作品はとにかく何でもがっつり説明だったので、これは本当に、難しいですが、考えるべきところだと……。今も考え中なところです。
 ほんとに鋭い感想で、参考になります。有難うございました。

>栖坂月様

 感想有難うございました。 
 『レールから外れる努力』ですが、これは本当に反省しております。多様な舞台で多様なエピソード、しかも911にウェルテルだ、どうだこれ! といううすっぺらーい、あほな勢いだけで書いてしまったところがあると思います。全体としてみたときに「転じる」部分があまり目立っておらず、始まりのエピソードで「起」こったあと、だらだらと「承」がいくつも続いて結末にフラットに繋がっている感があったと……。
 各エピソードで意表を突こうとしておきながら、本末転倒でした。参考になる感想です。

>朝陽遥様

 感想有難うございました。
 個人的に、ちょっと吃驚するほどにストレートに「くるものがある」感想でした。ツイッターのほうでも呟いて頂いていたように記憶していたのですが、「顔を上げてひといきついて、感じたことや考えたことをちょっと見つめ直して、それから先を読みたくなる」というような作品は、多分ずっと目指している理想系そのもので、今回こうした感想がいただけたことは、凄まじく大きな収穫となりました。この感想をいただいた際、普通に声出してごっろごろ床転がりました。そのくらい嬉しい感想です、有難うございました。
 もともとただ「考える」ことが物語を味わうことと並んで好きで、そもそも「物語」と「哲学書・思想書(とぼけた人生論のようなアレなものは除外するとして)のようなもの」という二つのジャンルは、同じことを語る正逆の二つではないかと考えています。ちょうど、作用反作用みたいに、壁を押す手と壁が押す手みたいに。
 で、『それぞれ正逆に位置する二者』なら、弁証法的に止揚できるはずで、なら物語でもそれがある程度できるんじゃないかと。
 まだまだ未熟ではありますが、そうした試みの欠片が実ったとすれば、これ以上嬉しいことなんてあまりあるものではありません。
 『ナビゲーターの語り口の軽さ』ですが、これは最初からそうと決めていて書いたのですが、後から考えると書き易さに逃げた結果になったかもしれません。軽さのもつよさがあまり物語り全体に寄与していませんし。これは反省点として、受け止めております。

>流山晶様

 『それが一つのテーマに結びついているように見えませんでした』⇒厳しいですが、確かにそうかもしれません。「価値」とか「喪失」とか「絶対性」という根源的な主題を中心において、それを語るために他の色々な主題を語ったわけですが、つながりを自然と感じさせ皆に理解を醸成するには、不出来な点が多かったかもと思います。
 『有理が特異点であるという根拠が甘く』⇒というか、そも有理が特異点である理由はほぼ語られていないんですよね。なんでかそうであった、というだけで。ここは投げっぱなし感が人によっては強かったかと思います。かと言って語りすぎてもあまり他に繋がらないところではあるのですが……しかし確かに、宇宙構造などを醸し出すような話に収束する割にはここだけぽっかり空いている気もしますね。

>桐谷瑞香様

 感想有難うございました。
 『二重の意味を持つタイトル』実はタイトルは、投稿期間開始直後に早く投稿して注目を浴びたい(あほである)!という焦りからぽんと適当につけたものです。が、プロットを整理し最終話を作ってみると、自然とはまってきたものですから、不思議な話です。物語というのはよくよく「演繹的に書かれる」と言われますが、本当にそうかもしれません。このタイトルも結末が存在して、そこから逆に導かれ、なんとなくでつけたつもりが割りと悪くなかったかなーと思えるものになりました。こうした感想をいただけて、安心しています。
 『個人にはユルゲンの話が』有難うございます、ちょっとどうだろうと自信のないエピソードでしたが、このような感想をいただけて良かったです。もともと大人顔負けの、清冽で意志と思考鋭く、磨き上げた美しい石材のような「お姫様」が好きで、それありきで書いたエピソードです。

>真崎@M's Works様

 『あるいは作者の意図としては不本意な受け取り方なのかも』⇒いいえ! 断じてそんなことはありませんとも! というか、それこそ悪い意味で『非常に面倒臭い』と思われなくて心から良かったと思っております。
 対話の様な、と書いていただいていますが、まさにそうした構造は目標として書いたところで、『面倒臭い、いい話だった』という一言はかなりぐっとくるものがあります。『面倒な』話を最後まで読み、こうした感想を下さったことに、深く感謝しております。

>尚文様

 『全部持って行かれた』⇒最後の最後を最初から意識して書いた物語でしたので、ありがたい感想でした。そのものずばり、多世界解釈(をアレンジしつつ拡大解釈したもの)をベースにしています。

>平 啓様

 『すでに人は至福の中にいる』『これを見つける事こそ人間が古来求めてきた』⇒まさにこの作品の中心、主題そのものの、作品内での到達点だったのですが、それをここまで受け止め理解してくださったことに、感動しています。伝わるかどうか疑いながらずっと書いてきたので、非常に嬉しいです。すでに至福の中に、というのは、ずっと考えてきたテーマのひとつの現時点での答えで、多分作品内だけでは分かり辛かったのではないかと思いますが(何せ『幸・不幸の止揚』なんて小説でなくそのものずばりの哲学書や思想書で書いたって何人分かるのか……)、本当に伝わってよかったです。
 


  



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