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[764] 俊衛門「庭園」 Name:あなたのSFコンテスト 2014/08/31(日) 12:42 [ 返信 ]
作者名:
俊衛門


作品名:
庭園


分類:
長編


あらすじ:
その庭園で、二人は出会った。世界が終わる、最後の日に。二人で奏でる音は、いつしか彼の全てとなった。


URL:
http://ncode.syosetu.com/n7172cg/


[1017] RE:俊衛門「庭園」 Name:ジザパルーラ 2014/09/04(木) 09:41
 意図的に時系列をグチャグチャにして構成された物語。ストーリー自体は平凡なので、全体像を最初に推測して、そこから現在位置を逆算しながら読めば、まあなんとか内容を理解することはできます。面倒ですが。

 決して成就することのない恋をあつかっており、印象的な場面がいくつかあります。12話の録音を流す部分ではかなりグッときました。

 作品の根幹をなす若返り処置については、疑問の嵐です。熱交換とかあんな理屈で若返りができてたまるかと思いますし、そもそも移住計画のためにどうしても若返りが必要だったのかとも。

 総括すると、魅力がないわけではありませんが、読みにくさや引っかかるところが目立つ印象でした。

 以下妄言。
 いっそSF的なガジェットを全部とっぱらって、若返ってゆく女と年老いてゆく男の恋愛に絞って書いたほうがよかったかもしれません。逆『ジェニーの肖像』みたいな感じで。

 以上です。失礼しました。


[1162] RE:俊衛門「庭園」 Name:朝陽遥 2014/09/06(土) 20:10
 拝読しました。
 読んでゆくうちに明らかになる二人の立場の違い、対比の構図がお見事でした。これは切ない……。二人のすれ違いもそうですが、リオの葛藤もまたもどかしくて。
 あえて時系列を錯綜させることで、物語の中盤でもう読み手には結末の察しがつく構成となっていましたが、非常に効果的だったと思います。

 とある作家さんが、「悲恋を書くということは、絶対に恋の叶わない理由を読者に提示した上で、予想どおりの結末に着地させるわけで、どんでん返しなどの手法が使えない分ものすごく筆力の要求されることだ」というようなことを書いておられたのですが、本作を読みおえてからその言葉を思いだして、納得しました。悲恋を描いて、読者を満足させるというのは、ほんとうに技倆のいることなのだなと。

 強いてあげつらうならば、政府がこんなにもリーダーシップを発揮することができるだろうか、ここまで混乱を抑えて人類を導くことができるものだろうか、という部分に少しばかりの疑問は残りました。しかしそれも読み終わって感想を書くために振り返ったときにようやく考えたことであって、読んでいるあいだそうしたことを感じさせないだけの力のある作品でした。
 味気ない食事などの日常と美しく作り込まれた庭園の対比。自然を模したものや儀式性といったものを、そんな余裕もないはずなのに、どうしても求めてしまう人々の心理。あるいは人間の演奏する音楽が見直され、いっとき流行したがそれもまた下火になったというような、こまやかな描写が背景として世界観を支えていました。

 とっくに覚悟していたつもりでいたにも関わらず、ひたひたと押し寄せる絶望に心を乱されるマックス、役割を果たすために露悪的といっていいような態度を取っていたオートヴァスが、終盤になってようやく見せる素顔といった、脇役の描写も非常に魅力的でした。

 とりとめのない感想になってしまって申し訳ありません。堪能させていただきました。執筆お疲れさまでした!


[1188] *ネタバレ注意! RE:俊衛門「庭園」 Name:深津弓春 2014/09/07(日) 04:36
 しっかりとした実力に裏打ちされた、強く美しい物語です。

 個別の時間。身体の時間。いずれ他の全てと同じように、拡散した熱量となるよりほかにない個人たち。環境破壊によって母星に住めなくなった人々は、その力を結集して一部の人間だけを宇宙へと送り出す……彼ら個々人の時間を巻き戻し、極限的に未来のある状態にした上で。けれど、閉鎖された地下空間で生きる人間たちにとって、それは代償を伴う行為だった――ひとつの系の中で、一部分のエントロピーを収縮させることで時間を逆転させ人々を拡散から収束へと転じれば、それ以外の部分は当然、その分の拡散を請け負うこととなる。
 宇宙移民者と、それを送り出すための計画進行者。計画の本格始動と共に、若返るものと老いるもの。
 地球人類の末期に程近いそんな折に、計画進行に携わる主人公と、何も知らず移住対象者として生きる女性は、ひょんなことから「再会」し、逢瀬を重ねる……。

 設定、ギミック、伏線、物語構成、情感、主題。多くの要素がそれぞれきっちりと滑ることなく丁寧に描かれ、互いに上手く組み付き機能しています。別の方の感想にもあるように社会体制などにやや疑問を覚えるところはあるものの、細かい点で、全体に対して差し支えるような大きな破綻は見受けられませんでした。

 目だった、「分かりやすい」、尖った設定やギミックなどは無く、誤解を恐れずに言えば「渋い」「地味な」設定や展開が全体を構成している。それは取り扱われている物語が――時間、個人的意識、事物の変化、それから二人の輝かしい意識の出会い――本質的に妙に派手派手しいような要素を必要としないからかもしれません。「描かれる物語に適した必要十分なガジェット」で構成されているからこそ、この作品はその主題も、ドラマも、無駄に足を止めてしまうようなところ無く出来上がっているように思います。かなり上手く「最適化」されているといえばいいでしょうか。

 恋愛ものといえば恋愛ものなんですが、恋愛という単語がかなり大雑把に使われているのが社会一般なので、この物語を恋愛もの、と呼ぶには躊躇してしまいます。その上この話の『恋愛』は、この物語で無ければ出せない価値を間違いなく出しており、その意味でも単純な呼称はし辛い。
 身体時間的にそれぞれ逆行して交差する二人。人類の居住地として終わってしまう地球と、そこから離れる人。老いて失われる記憶と若さによって失われる記憶。詰め込まれた要素の多くが機能した結果として、この物語の一番の価値が、主人公と月慈の間に生起する価値が、形作られている……。

 悲恋ものというと、テンプレート的な、「一部の要素が別のものに置き換わっても別にかまわない」ような、ある種ハリウッドのアクション映画のようなつくりの粗製品がよくよく見られるのですが、この「庭園」はそうじゃない。この話じゃないと、ならない。これって商業作品ですら、結構貴重なことだと思います。

 やや中心から外れてSF的要素について言及すると、エントロピー則を下敷きにした秩序交換、それによる若返りと反作用の老いという構造はこれだけでも面白いと感じました。きちんと時間や変化ということの根本についても考えられており、やや無理なところはあるものの、決して「都合のいい舞台装置」になっていないのがいいところ。
 移民ってだけから受精卵でいいのだけれど、この物語では、あくまで「現在の人類」の一部を、極限的な若返りというかなりぎりぎりなところをうけいれつつも(記憶までなくなるわけだからかなり死に近いのですが、それでもぎりぎりで個人を個人として存続させている)救って、未来に繋げており、これは珍しい展開だと感じます。人類全体で安楽死しつつ遺伝子だけ送り出すのでもなく、全員で助かろうとするでもなく、現実的で仕方のないぎりぎりで一部の人間を存続させるために他の人間が『老いる』。

 
 いい作品でした。無茶苦茶なことをいってしまうと、見た目「地味」な作品なんですが(タイトルからして「庭園」で、サブタイトルは単純な数字表記、しかも二日間で全文量更新⇒完結というストイックさに溢れてます)、きっちりとした地力がある故の地味さだと思います。未読の人は是非投票期間とか関係なく読んで欲しい。ネタバレ注意の感想欄で書いても仕方ないけれども。

[1365] 丸くなった Name:栖坂月 2014/09/10(水) 10:55
この作者さんの作品は何作か読ませていただいていますが、今回も安心のクォリティでした。相変わらず絶望を書くのがお好きなようで、まさに得意な作風であったのかなと勝手に推測しております。
文章に関してはいわずもがなの出来ですが、必要なパーツを必要なだけ使って物語を作る手法はやはり見事です。綺麗な物語、という印象が強いですね。まさしく安心して読んでいただける良作ではあったと思います。
ただ、これはあくまで個人的に感じた印象なので事実かどうかはわからないのですが、執筆に当てられる時間的余裕があまりなかったのかなと、思う節がありました。珍しく誤字脱字が目立った(中盤に多かったです。後半は乗っていたのか少なかった)のもそうなんですが、少し分かりにくい構成は、それらを修正するだけの推敲が足りていないのかなと思わされます。アイデアも老化の移動という発想は奇抜であるものの、それを取り巻くエピソードはありがちな悲恋であり、そこまで驚く要素はありません。この作品は時間をテーマにしてますが、書き手の時間のなさを悲鳴にして書き上げた、みたいな感じにも思えました。
総じて、尖ったところの乏しい無難な作品に収まっているという印象です。とても綺麗には仕上がっていると思いますが、今まで読んできた作品の中では凡作かなと感じました。むろんそれでも、一定水準以上の作品であることは間違いないんですけどね。
ある程度知っている作家さんなので辛口になりましたけど、よく知らないという方にこそ読んでいただきたい作品ですね。この人は上手いですよ、純粋に。
それではー


[1414] RE:俊衛門「庭園」 Name:みもり 2014/09/11(木) 03:31
なろうの感想でも書いたのですが、とても詩情に溢れた作品だと思います。

■構造について
紡ぎだされる景色の美しさが、既に物語足りえているので、構造における読み解きにくさも、ある種の歌を聴いている感覚で、受け入れる事が可能となっていました。
私はこの作品を2度読み、2度目は構造を確かめながら何度も折り返して読みました。しかし、一度目に読んだ印象からずれていませんでした。
自然と繋がるんです。全体の景色が。

ただできるなら、小題や段組等の配慮があれば、より親切かもしれない、とは思いました。
重厚な作品を読みなれぬ読者からすれば、文章がもたらす詩情そのものを読む推進力へ変換し、構造の不明さを脇に置いて移入してゆくのは、割と忍耐が必要なので。

■この作品に流れている『恋』について
個人的には『悲恋』だけど『絶望』ではなかったです。それは、2人で奏でた音楽が、とても共鳴し重なり合ったのもそうだし、それぞれが記憶をなくた後でさえ、再び邂逅し惹かれあう繋がりの景色があったからです。
デートとかセックスとか家庭とか、そういうのが恋の全てだとは思わないし、むしろ、永遠に届かないところで思い合い繋がっている所において、こういうのが割りと真実に近いかも、という気がします。

だから、最後に夢の中でのあのシーンは、凄く切ないんだけど、暖かかった。
なんだろう、説明しがたいのですが、例えば、好き合って肉体的に結びついたとしても、その延長に残る感情に美しさや慰めがなければ、割と恋愛はもろい。
なので、分かり合えた景色(記憶)が永遠に存在できたすれば、それは祈りのようなものに近いと思う。
祈りというのは、しるべという意味です。
心の灯火、灯台。

この恋愛で男も女も救われている気がした。
魂に暖かいものが残っている。
そう感じました。
だからこそ、切ないんですが。

■SF的要素について
現代のように科学が日常に入り込んでいる世界では、既にSFは日常になりつつある訳で、どんなに科学的浪漫を語っても、やはり日常の延長になるのかなぁと思ったりします。
逆にSFが日常だとすれば、科学について力説しなくても良くなる訳で、そこで生きてゆく人間そのものがより求められる思うんです。

なので個人的には、SFを単なるある特殊な状況とか、特殊な世界観と割り切っています。
そのSF的状況に直面した人間の普遍的価値みたいなもの。現代において、それがより求められているのかもしれない。
昨今、将棋でもコンピューターが人間のプロを打ち負かすようになりました。人間の知性は既に機械に飲み込まれつつあり、じゃあ、知性も運動性も機械に適わぬ時代において、人間って何が残るのだろう?とか思います。
まさか、全てを機械に任せて、欲望に生きるというのは違うと思いますし。

この物語において、機械であるアンドロイドが人間を理解しようとし、そして共感まで辿り着いていた、と思う。
人間は弱いなって。でも、人生は美しいとも。
もちろん、醜い人生もあります。でも美しい人生があるとするなら、そこに価値があるかもしれない。
この物語には、その美意識に溢れていました。

素晴らしい物語でした。

[1416] RE:俊衛門「庭園」 Name:鳥野 新 2014/09/11(木) 06:37
 しっとりとした筆致の根底に秘めた情熱が流れる。そんな物語でした。この作者お得意の戦闘シーンがありませんでしたが、読み応え十分、堪能しました。私はとても読みやすかったと感じました。
 音楽による二人の結びつきは、読んでいてある種のエロチシズムまで感じてしまいました。二人の絡み合う演奏が心の中に流れてくるような感覚でした。
 また、もう一人のヒロイン(?)リオが彼の横に居たために、この物語の読後感がとても明るくなっていると感じました。素晴らしく精巧にできた彼女に恋という感情が宿っていないことを祈るばかりです。
 滅び行く人類と別れ行く男女という悲しいテーマでしたが、それなのに読後感はなぜか夕映えを見ているかのように美しい優しい。ラストシーンが特に印象的でした。

[1617] 美しい時間だった Name:お茶龍 2014/09/18(木) 12:15
こんにちは、ご無沙汰しております。拝読しましたので感想を。
高みに昇ろうとしている姿勢がうかがえました。成長したり意欲的なのは、という意味あいで、とてもいい事であると思いまして嬉しくなりました。
音楽という高尚な材料を話の中に入れる事で、絶望的(かどうかは置いといて)な様な世界観にゆとりを与える。品を出す。
SF要素といったって、くどくないさじ加減。恋愛かといえば要素はあるけど踏み込まない程度(泥沼には)。
ある意味ごった煮ですけど(何それ笑)、バランスのいい文学的なお話でした。ちらりと『老人と海』あたりが思い出されましたが、それは老いと若者が出てくるからでしょうね…

強いていうなれば…
綺麗すぎた。それぐらいかな。そうなる理由はいくつかありますが、ひとつに経験が足りない、とかがあります。
例えば銃で相手を撃つものなら、実際に撃った事がある方が書くものと、経験が無い方が想像で書くものとは、異なります。この差を埋めるためには、語彙も要りますが、何より頭の中に明確な映像が浮かぶかどうか。想像力です。
それは読者側にも言える事ですけどねー(遠い目)。
結論。マイワールド結構じゃないか! ぐはははは!!

・・さて、失礼しました。
何様だと非難でも浴びながら去ります。執筆おつかれさまでした。
いい時間でした。真夜中にひとりで読むと尚一層効果的な話でした(ぐっすん)。ではではー


[1626] RE:俊衛門「庭園」 Name:平 啓 2014/09/18(木) 19:55
拝読しました。
これを読む前日に映画でバイオリンとチェロの二重奏を聞いていたので、演奏シーンでは始終頭の中で弦楽器が鳴っていました。
前作でもそうですが、俊衛門さんは聴覚に訴える設定がとても素晴らしいと思います。

でも一番心に残ったのは、音楽を諦め生きていくため感情を押し殺してきた山辺が、音楽によって心揺すられ、湧き上がった感情に戸惑い、アンドロイドに問い詰めるシーンです。もう、好み中の好み、たまらないシーンでした。
地球と主人公を思わせる落日の彩り、弦楽二重奏の響き、ロマンチックな悲哀あふれるムードを満喫させていただきました。

ただ背景のストーリーが霞んでしまったように感じられます。マックスのエピソードから関係者の動揺が描かれていましたが、今一つ切実感が薄かったように思いました。

また、途中で挟まれる老いた山辺のエピソードも必要だったかなと首を傾げました。唐突に挟まれるので、初めの頃は時制が混乱しました。
最初と最後だけで、山辺と月慈の変化の対比と別れは十分に伝わったと思います。

ともあれ、哀惜あふれるロマンスを十二分に楽しませていただきました。


[1629] RE:俊衛門「庭園」 Name:桐谷瑞香 HOME 2014/09/18(木) 20:36
切なくも美しく、そして力強い音色が聞こえてくるような小説でした。
全体を漂う雰囲気や先が見える展開から、とても心が締め付けられるような感覚に陥りましたが、中盤から終盤にかけての二人の演奏部分を読んでいるうちに悲恋以上に心に突き刺さるものがありました。美しい――そういう言葉が本当に良くあう話だったと思います。
最後の二人の演奏部分が一番印象的でした。この美しい小説を象徴しているようなシーンだったので。

意図的に崩された時系列には多少混乱もしましたが、その崩し方が逆に集中して読む要因ともなりました。
今まで出た話の間には何があったのか。どちらも出会ったばかりの二人だが、特に過去の二人はどのようにして近づいていくのか――そのようなことを注目して読み進めていました。近づいていく二人の関係が丁寧に綴られており、山辺が自分の気持ちに気づき、リオに吐き出す場面は非常に歯がゆい思いでした。
悲恋を読むのは好きではありませんが、不思議とこの作品を読んでいて不愉快な感想など抱きませんでした。ハッピーエンドとは言い難いですが、それ以上に心打つ話であったというのが要因だったと思います。

SF的な内容も違和感なく入れており、非常に読みやすかったです。丁寧に書かれている描写や作りこまれた世界観が安定して基盤を作っていたため、物語も無理なく読み進めることができました。

涙を要求するのではない、温かさをもたらしてくれる素敵な小説でした。ありがとうございました。


[1924] RE:俊衛門「庭園」 Name:真崎@M's Works 2014/09/26(金) 18:55
 風景画のようである。
 写実と抽象の、その狭間を揺蕩う様子は、諦観と希望の関係にも似て、美しい。
 堅実な筆致で、それゆえにスペクタクルな面白さとはまた違う味わいがある。
 緊張感や心の推移がじりじりと積み重ねられていく。
 決壊しないと約束された表面張力を見事描ききっているように思う。
 お疲れ様でした。
 ありがとうございました。


[1927] 交響曲「庭園」 Name:小豆犬 2014/09/27(土) 01:10
「庭園」拝読しました。
 静かな物語でした。静寂と言ってもいいかもしれません。まるで風景画が並べられた美術館を歩くよう。それでいて、二人の奏でる音楽は、いつまでも頭の中に響いて今も止むことがない。その音楽は、まるで熱くお互いを貪るように激しく、そして、庭園に静かに響くようにか細くて。

 読み終えてため息が出ました。描かれた風景は、決して派手派手しくなく、美しく描かれる庭園と、無機質に描かれる自室のみ。極限まで削ぎ取られた描写の凄まじさ。
 時系列の混乱は、まるでアレンジを加えられたフレーズを繰り返す交響曲。
  
 感想欄を拝見し、身構えて読み始めましたが、気が付けば、どっぷり世界観に浸っていました。
 特に二人が即興で音楽を奏でるシーンには手に汗を握りました。まるで戦闘シーンのような迫力のある描写。燃え上がる二人の心の激しさに不思議なエロチシズムを感じました。
 圧巻は、徐々に老いていく主人公の心境の変化の機敏。「アルジャーノンに花束を」に通じるような繊細な表現。

 確かに、他星系まで移民船を送り出すのに、わざわざ若返りを行う必要があるのか、移民に選ばれる基準など、疑問に思う事もありました。アンドロイドに単一的に育てられた移民達がどの様な大人に育っていくのか。移民の功労者である彼等が何故老いて行かなくてはいけないのか。
 答えは彼女の持つ即興の能力なのかもしれません。だとすれば、それに気付いた主人公を思うと、本当にせつない。リオに彼が問い詰めるシーンは、思わず目を背けました。せつなすぎて。

 まとまりの無い感想になってしまいました。すみません。

 コンテストに参加して、この物語を読む事が出来てよかった。
 素晴らしい物語でした。ありがとうございました。


[1983] RE:俊衛門「庭園」 Name:VEILCHEN 2014/09/28(日) 22:03
音楽をモチーフにした作品ではありますが、非常に絵画的なイメージを抱きました。
落日に染まる庭園で出会う二人の男女。地球の終わりの風景を閉じ込めたガラス張りの箱庭を見るような。庭園、というタイトルはシンプルながら本作にとてもよく合っていたと思います。
時系列を入れ替えて提示する構造も、振り子が揺れて行っては戻るのを見るようでした。悲しい結末を先に見ることで現在や過去を見る目が変わり、そこに至る経過を見ることがまた結末への切なさを生む。
人様の作品の感想欄でポエムを詠んでしまうなんて恥ずかしい! でもそれくらい美しく心を締め付けられる作品でした。

個人的に、二人の交流をずっと傍で見守り、最後には主人公に忘れられてしまうリオの心情(があるなら)にも考えさせられました。淡々としているようで主人公の心情をとてもよく汲んでいた彼女には何か救いというかやり甲斐のようなものはあったのかな、と。

心を動かされる作品を、ありがとうございました。

[2049] RE:俊衛門「庭園」 Name:尚文 2014/09/30(火) 21:44
面白い発想の作品だともいます。
何やら、さっぱりとした作品だという印象を受けました。

[2054] “らしい”作品 Name:天崎剣 HOME 2014/09/30(火) 22:32
これまで何作も読ませていただきましたが、その中でも群を抜いて綺麗な作品だったと思います。
美しい庭園の風景と、スレンダーな東洋系美少女。主人公は対して、真面目でストイックな男。
二人の対比は、時間の流れ、強いては運命の流れへと続いていく。
過去と未来を交互に描写し、何故彼がどんどん彼女に惹かれていったのか、時間の経過を辿るように丁寧に描写している様は印象的でした。

確かに「趣味に走った・フィクション」に違いないと、率直に思いました。
ヒロインは東洋系美女、これはお決まりですもんね。
そして、主人公。大抵無口で、それほど自分から目立とうとしなくて、仕事熱心で、それ以外に興味は殆どなくて。こういうタイプの男性も、俊衛門さんの作品には良く出てきます。

二人の時間がずれている。ハッキリ分かってからは、読んでいて辛かった。
「ベンジャミン・バトン数奇な人生」て映画があるわけなんですけど、あれをね、思い出していました。
ベンジャミンは年寄りの姿で生まれて、赤ん坊の姿で死んでいく運命を課されていました。大好きな人と時間を共有したくても、二人とも、時間のずれていくのをどうにもできなくて、すれ違っていくのです。
この作品ないでも、悟と月慈は、どんどんズレていく時間を、どうにも出来なくなっていく。それが、切なくて切なくて。

繰り返されていく会話。
何度も出てくる自己紹介。
二人とも、何故忘れるのか。本当に忘れているのか。
考えると、切ない。切なすぎて、涙が溢れます。

忘れていく。だからこそ、何度も出会う。

何とももの悲しい、そして、深いテーマだなと。

この、時系列の乱れが、メトロノームのように行き来しているのだと気付いたとき、また胸の中を切なさが駆け抜けました。

本来戦闘シーンが得意な方ですが、人の心情も、じっくり描くのが上手くなってきているなと、(前々からそうでしたが、特に)強く思いました。
読めて良かった。
ありがとうございました。


[2154] RE:俊衛門「庭園」 Name:拙者 2014/10/05(日) 21:06
拝読いたしました。
大賞作だし、他の方も褒めているし。
今更うまくまとまらない稚拙な感想を投稿するのもどうかと迷いましたが、心動かされた作品でもあり、やはり一筆失礼することにしました。
個人的に気になったのは、時間が逆行する仕組みの説明は寓話的な世界だからいいとして、二人が経る時間の早さの違いでした。
山辺の経る時間が月慈の倍ほど早いようですが、これは選別者と残された者の人口比を反映しているのか? 選別者の人数の方が多いのか、などと考えながら読んでしまいました。
ですが設定の不可解さなどは本作では些細な点のような気もします。
18の即興の場面や、19のリオをなじる山辺の場面で胸が締め付けられるような苦しさを覚え、21の出発の光景とはじめての日の夢の場面では落涙してしまいました。
また二人を見つめるリオの視線が、本作に更なる哀感を添えているように思えました。
異なる時間を生きる二人の姿は、映画「ベンジャミン・バトン」を思い出しました。
また乙一「陽だまりの詩」、ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」なども連想しました。
面白かったです。
勝手な感想失礼しました。

[2245] 感想御礼 Name:俊衛門 2014/10/13(月) 12:28
このたびは感想をお寄せくださりありがとうございました。
また拙作に投票していただいた方、本当にありがとうございました。あんまり読まれないだろうなと思っていたのですが、結果を見る限りなんだか嬉しいというより申し訳ない気持ちの方が強くて、ああしかしありがたいことです。

当初この話は短編で、公募に出そうとしていたものでした。しかし書き上げてから何か違うと思ってそのまま放っておいて、この企画を知って急遽書き直したものです。長編に書き直したものの、元が元なのでいろいろと破綻がひどく、私を知る人は「俊衛門血迷うたか」とのたまい、知らない人からはスルーされるのだろうと思っていましたが、意外に皆さんお優しくて救われました(笑)
まあしかし、やはり誤魔化し切れないところはいっぱいあるわけでして。ご指摘を受けたところは真摯に受け止め、次回への糧としたいと思います。ありがとうございました。

[2246] 個別返信 Name:俊衛門 2014/10/13(月) 15:54
>ジザパルーラさん
そうですね、あんな理屈じゃ若返るわけありません(笑)
ただ「熱」という要素を加えたかったので、無理やりですがああいう形になりました。最初の形ではただの若返る女と老いる男の話だったので、余計なことをしなきゃ良かったという気はあります。
時系列は、ちょっと他所でやっていたのでやってみたかったのですが、あれは腕がある人がやるのと腕のない者がやるのではまったく違うものであると実感しました。
どうもありがとうございました。

>朝陽遥さん
ブログでも取り上げていただいたようで、ありがとうございます。社会体制のくだりは完全に後付けなのでまったく考えてなかったです。背景って大事ですね(笑)
ありがとうございました。

>深津弓春さん
レビューまでいただき、ありがとうございました。地味なのは、タイトルセンスの無さ故です。
実力のある方にほめられるのはなんともむずがゆいことです。ありがとうござました。

>栖坂月さん
時間はあったとも言えますし、なかったとも言えますし、しかしそこは皆さん条件は一緒。言い訳にはなりません。
もっと推敲には気を使いたいと思います。ありがとうございました。

>みもりさん
こちらにも感想ありがとうございます。小題……なるほど、そういう使い方もあるのですねw 構造についてはもう少し気を使うべきだったと反省しています。
お読みいただきありがとうございました。

>鳥野 新さん
お読みいただきありがとうございます。戦闘シーンは、まああれです。書かないわけじゃないですが、あまり同じものを書き続けても、ということで気分を変えてみました。次に何か書くときは、また斬った張ったやっているかもしれませんw

>お茶龍さん
高みに昇るなんて、そんな殊勝なもんじゃありませんw 経験の差は、こういうとこに出るんでしょうね。恋愛、レンアイ……嗚呼。
感想ありがとうございました。

>平 啓さん
そういえば前回も音がモチーフでしたね。いや、別に狙ったわけじゃありませんが。
背景関係と構造について、練りこみが足らなかったようでした。もっと精進します。感想ありがとうございました。

>桐谷瑞香さん
感想ありがとうございます。悲恋というのがどういうものかわからないまま書いていましたw
感想ありがとうございました。

>真崎さん
なんとも過分な感想、痛み入ります。ありがとうございます。

>小豆犬さん
あの、何で若返らせる必要があるのか、ということはまあ説明不足です。一応理由あったんですが、ちょっとその辺盛り込むのが足りなかったので……
ありがとうございました。

>VEILCHENさん
ありがとうございます。リオはおそらく、あれでよかったのだと思っております。

>尚文さん
濃い味ばっか食っていたら、さっぱりしたものも食べたくなるものですw ということで、ありがとうございました。

>天崎さん
天崎さんには、私が黒髪スキーであることがばれてしまったか……
冗談ではなく、天崎さんに認めてもらいたいがために書いたようなものです。ありがとうございました。

>拙者さん
そ、そうなんですよ。人口比で、ね? 時間の進みが違うという(そっぽ向きながら)
まあそこは完全に盲点でした。もうちょっと推敲してから上げるべきでしたね。気をつけます。



最後に。この場を設けてくださいました小伏さんに感謝いたします。どうもありがとうございました。


  



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