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[2100] 感想返信 1 Name:武倉 2014/10/04(土) 17:27
 感想を寄せていただいた皆様へ謝罪と謝辞を。

 まずは、謝罪です。
 この企画に参加され、本作を目に留めていただける少なからぬ人にとって、本作は、おそらく愉快な作品では無いと思っております。
 愉快痛快な作品だけが良い作品、と言うつもりもないですし、この作品が「愉快」ではなくとも「興味深い」作品にはなるはずと言う信念のもと、執筆し、企画に提出させて頂きましたが、その興味関心も極々個人的なものです。

 作劇的な展開が愉快でないのは勿論の事、作品が持つ主題。作者が読者の皆様に問いかけたかった命題も、不愉快と感じる方も少なかろうと思います。

 言ってしまえば、「俺の話を、俺の持っている問題意識を、誰か聞いてくれ!」と言うエゴイスティックな作品を、「R15表記」や「青春ラブストーリー“ではない”」程度の事前注意で、このような多くの方が交流される企画の場に持ち込んだ事。もしかしたら、価値観を否定されている様なお気持ちを抱かれた方も居られるかもしれない事を、ここでお詫びさせていただきます。

 続きまして、御礼を。

 今まで企画に参加させて頂いていた際は、感想への返信は個別にさせて頂いておりまして、今回も特に考えずにその様なスタイルを取らせていただくつもりで居りました。ですが、蓋を開けてみれば、大変喜ばしいことに作者の想定を上回る数多くの感想をお寄せいただき、かつそれらは、前述のように、不親切かつ意地の悪い形で、強引に問をぶつけると言う作風の本作であったにも関わらず、その問を真正面から受け止めた上で、真摯にその問への思いをお聞かせいただける、優しいお言葉の数々でした。
 本当に望外の喜びであります。ありがとうございます。
 
 さて、その様な形で頂いた感想の中にいくつかの共通した疑問が散見されました。そもそも、どのように作品を受け止められるか、また、私自身が皆様に投げかけたつもりである問に、どういった思いを抱かれるか、それは作者の及ぶ所ではございませんが、問を投げかけた者として、「答え」ならずとも、どう言った意図、心情でその問を表したかと言う事は記させていただこうと思います。
 SNS上でも、問だけ投げてみんなを散々悩ませておいて、自分の持ち札はオープンにしないのかと言うご指摘も頂きました。
 曰く「皆で恋バナしようって水を向けておいて、自分の好きな人は明かさないのか」と。
 ですので、全体の解題をし、その後、個別に感想へのお返事、御礼を述べさせていただこうと思っております。

 まず、多くお寄せいただいた前島悟の真意についてです。
 彼には詩織への殺意がありました。明確に。RRを媒介にして、自らの、自殺をすると言う強い意志を使い、詩織の精神をジャックし、死へと誘ったとでも言いましょうか。
 と言うのも、本作のラストを、不運な擦れ違いや一時の気の迷いでああなってしまった程度の温度で終わらせたくなかったという思いがあります。
 物語への絶望を描きたかったのか。それを前面に押し出す反射で、希望を照らしたかったのか。それは間違いなく前者です。
 悟の死も、詩織の死も絶対に揺るぎません。
 ただ、そのラストがどう言った意味を持ちえるのか。この点には私自身明確な答を未だ見つけられずに居ます。

 シンプルに捉えれば、悟は物語の支配する現実に辟易し、この世界を去ろうとしている所で、人の気持ちもわからないおせっかいな奴にずかずか踏み込んでこられて怒り、道連れにしたと言えるかもしれません。
 ただ、物語を憎む、全てが意味に還元され、ありとあらゆる行動や状況がなんかしらの価値に捉え直されてしまうと言う状況をこそ憎んでいた彼が、憎しみや、絶望や、復讐と言ったような、負の方向であるとは言え、ある種物語の典型とも取れる行為によって救われる、ないし満たされることがあるのか、と言う思いも私自身の中にあります。

 この矛盾については別の形でも後ほど触れようと思います。

 とにかく、作劇上、詩織は明確な悪であり、敵である必要があり、彼女は許されてはいけない存在として描こうと思っておりました。
 悟の行為を心中と捉えた感想を寄せていただいた方が何名か居られましたが、それに近いものだと思っています。
 彼が「復讐」と言う、負のベクトルとは言え、ある種の強い「物語」とも言える様な形で自らの幕を閉じることをよしとしたのか。否、でしょう。
 物語を奉ること。物語の中で生まれ、物語に触れながら、意味を学び、物語を価値としていく。息を吸って吐くに等しい不可欠さ、当たり前さで、何らかしらの「意味」に囚われて生きていくという、悟が終ぞまつろう事のできなかった、世界の理に対し、悟に出来たことはあまりにも少ないものでした。
 しかも、今際の際においてすら「なぜ、自分の思いが理解されない」「癪だ」「巻き添えにしてやれ」と言った、彼があれほど嫌っていた「物語」や「意味」を振り切ることができなかった。
 完敗と言って良いと思います。

 彼はその名に反し、それらの問や懊悩に対し、「悟る≒覚る」事が出来なかった。
 皮肉や悲哀や絶望といった、否定的であったり、懐疑的であったりなアレゴリーになりますが、前島と言う姓のキャラクターに「悟」と言う名前を与えた意味もそこに込めました。

 ちなみにですが、知識、思索、筆力、覚悟。突っ込むに足る全てを持ち合わせていなかったが故に、踏み入ることの出来なかった、悟が抱いた様な実存的問題に対しての「宗教」と言う命題があります。書くの怖いし、そもそも書ける自信もないし、と言うチキンな思いと、でも、やっぱどっかで絡めたいと言うネタに対する貧乏根性のせめぎあいの結果、彼はあんな名前で作中に生を受けることとなりました。どうでもいい、楽屋裏ですね。

 
 前述で、後述をお約束した点について。

 これも、何人かの方から感想をいただき、本作を書くにあたって私自身大きく悩んだ点でもあります、『物語の否定と言う「物語」』についてです。
 先ほどの文脈に沿って言い換えるなら『物語を憎んだ悟が「物語」から脱却出来なかった問題」』です。
 これについては、先ほど申し上げた通り、完敗である、と言う結論に尽きると思います。悟も、作者である私もです。
 私が対峙したい、存在を提示したい、それについて考えることについて皆さんのお考えを、お知恵を、聞きたい借りたい、と思っていた「物語」や「「意味」って奴は、 語るに落ちるというか、語った瞬間からその内部構造に囚われてしまうような、そも、そう言う存在だと思います。
 手を取り合っていくことが、どう考えてもベストの選択肢で、引き分けと言えば無視するより他にあらず、組みすれば必死の相手。「苦」であり「死に至る病」であり「大きな物語の終焉」等々の言葉に通底する問題意識です。
 この作品は紛れもなく物語であり、その力や効能の危険さを説いておきながら、自分自身もそれを利用して、誰かに何かを語りかけようとしていると言う「自己矛盾」こそが、この問題の真に厄介なところだと思っています。その自己矛盾をどうするか。
 私が思いつく限りでは、自己矛盾は利用する以外に他ないなと言う結論に至りました。
 白い紙に黒いペンで、白い丸を描くにはどうすれば良いか。答えは、白い円以外を黒く塗りつぶす、です。
 書けない物を書くには、その周縁を、書けないという状況を書く。その事で、書くことはできずとも、読んだ人間に、書けないものの輪郭を提示できるのではないか、それが私の発想であり、悟の企みでもありました。
 ただ、一点、「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」ではありませんが、もうちょっと深淵の際まで行けただろうと言うご指摘も頂きました。つまり、問題の輪郭がまだまだぼやけている、と。それについては、至りませんでしたとお答えする以外の術を持ちませんので、今後精進していきたいと思います。

 ちょっと、真面目なテンションを続けすぎたので、少し砕けさせていただいて、RRについて。
 スピンオフ企画にて、個人的にはよく書けたと気に入ってるものの、あまり評価されなくてたいへん寂しい思いをした、フザけたエッセイにも書きましたが、私にとってSFは命題を語る為の手段と言う思いが強く、今回のRRと言うガジェットについても、「人と物語の繋がり」と言う物を顕現させる装置として利用しており、あまり深く突っ込んで言及をしてません。
 なので、RRそのもののディティールであったり、是非であったり、それを巡る言説やエピソード等も作中にはあまり登場しません。そう言った点で物足りなさを抱かせてしまった向きも多くあると思います。これも、ひとえに作者の至らなさです。
 元ネタとしては、作中に少し言及してる点もありますし、お気づきの方もいらっしゃったようですが、ニコニコ動画、ないしその着想になったとひろゆき氏が言及している2ちゃんねるの実況スレをヒントにしています。今も、ニコニコ静画と言うサービスがありますが、それの活字版&発展系ですね。
 作中では、あたかも「権力者が情操教育に良いとされる完全滅菌の物語を子供たちに植え込む」的な管理社会系ディストピアなんかの定番ガジェット的に描いておりますが、まぁ、ニコニコみたいに、他人とコミュニケーション取りながらワイワイ楽しむもんか、と捉えていただければ、嫌悪感も少しは薄れるのではないでしょうか(笑)
 読み手、リーダーと呼ばれる人達が、コンテンツの作者と同等に、もしくはそれを凌ぐ形で人気を持ったり、信奉されたりと言った構図なんかも頭の中なんかにあったりして、これも、歌い手や実況主と言ったニコニコ由来に文化にインスピレーションを受けています。
 本作の主題である、自己と物語の実存的問題とか言う厨二こじらせすぎだろ的な問題とは全く別に、コンテンツの消費が、コンテンツそのものの内容ではなく、それを消費する際に取り巻いている環境やコミュニケーションに左右される。ハイコンテクストカルチャーみたいな興味関心も無きにしも非ずで、そういう点でもRRと言うガジェットを使ってなんか書けるのではないかなとも思ってるのですが、それはそれで機会があれば。

 最後に、これは投票締め切り後、本作のあとがき部分等にも書き足しておこうと思っていた本作の参照項であったり大きく影響を受けた物事のいくつかです。

長谷敏司「あなたのための物語」ハヤカワ文庫 2011/06 
少なくとも、世に広く出る形で存在している物語はすべて呪いを媒介するためと思っていたら、存外そうでもないのかな、と驚きを感じた作品。

東浩紀×佐々木俊尚対談「webで政治は動かせるのか」(現在は公開を停止してますが)
http://live.nicovideo.jp/watch/lv190468997 
救われると言う事を救いだと感じる事のできない、救われない、救えない人をどう救うかという問題に対する言及があります。

滝本竜彦著 大岩ケンヂ画「NHKにようこそ」全8巻 カドカワ
救われない今ここにいる自分と、救われないフリをしている虚構の中の自分みたいな誰か。二者の圧倒的なまでの乖離を突きつけられる迷作。

武倉悠樹「知恵の実の毒」
http://ncode.syosetu.com/n6832j/
拙作。もう4年も前の作品になりますが、おそらく最期の栞の種的ななにか。

「黒子のバスケ」脅迫事件 被告人の最終意見陳述全文公開
http://bylines.news.yahoo.co.jp/shinodahiroyuki/20140718-00037501/ 
以下6まで。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/shinodahiroyuki/
世界の理にまつろえぬ存在という事を強く意識させられる問題。

以上、作品概要に対する作者解題でした。個別の感想への返信はまたあらためて。
いましばらくお時間をいただければと思います。



スレッド記事表示 No.576 武倉悠樹「最期の栞」 あなたのSFコンテスト 2014/08/18(月) 18:28 [ 返信 ]
   ┣No.683 【ネタバレあり】傲慢という病 朝陽遥 2014/08/28(木) 20:03
   ┣No.684 避けてとおれないもの ジザパルーラ 2014/08/28(木) 21:01
   ┣No.719 RE:武倉悠樹「最期の栞」 VEILCHEN 2014/08/29(金) 22:46
   ┣No.727 RE:武倉悠樹「最期の栞」 拙者 2014/08/30(土) 00:42
   ┣No.739 RE:武倉悠樹「最期の栞」 キョウノ アリス 2014/08/30(土) 12:23
   ┣No.745 RE:武倉悠樹「最期の栞」 流山晶 2014/08/30(土) 18:14
   ┣No.778 RE:武倉悠樹「最期の栞」 鳥野 新 2014/09/01(月) 07:20
   ┣No.809 RE:武倉悠樹「最期の栞」【ネタバレ注意】 小豆犬 2014/09/01(月) 21:45
   ┣No.867 RE:武倉悠樹「最期の栞」 平啓 2014/09/02(火) 20:51
   ┣No.1109 RE:武倉悠樹「最期の栞」【ネタバレ有】 グルヌイユ 2014/09/05(金) 20:31
   ┣No.1304 武倉悠樹「最期の栞」論 茶林小一 2014/09/09(火) 00:47
   ┣No.1431 RE:武倉悠樹「最期の栞」 仏師 2014/09/11(木) 20:53
   ┣No.1445 誰かの背中を追う娯楽 栖坂月 2014/09/12(金) 16:19
   ┣No.1448 RE:武倉悠樹「最期の栞」 守分結 2014/09/12(金) 18:01
   ┣No.1451 RE:武倉悠樹「最期の栞」 木居鳥 楽久 2014/09/12(金) 21:47
   ┣No.1772 RE:武倉悠樹「最期の栞」 ささかま。 2014/09/21(日) 23:54
   ┣No.1958 RE:武倉悠樹「最期の栞」 尚文 2014/09/27(土) 22:51
   ┣No.2059 読むこと、感じること 天崎剣 2014/10/01(水) 01:27
   ┣No.2069 「全力で影を演じた作品」 URA 2014/10/02(木) 18:04
   ┣No.2100 感想返信 1 武倉 2014/10/04(土) 17:27
   ┣No.2220 個別返信@ 武倉 2014/10/09(木) 23:35
   ┣No.2244 個別返信A 武倉 2014/10/13(月) 11:42
   ┗No.2254 個別返信B 武倉 2014/10/18(土) 20:55

  




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